ストーリーがいつものアレで
テーマがヤクザもつらいよ。

エッセイを読んだ勢い第二弾。
だったら一番有名なコレだよね、
ってことで手を伸ばしました。
最初の話でも良かったんだけど
借りられてて置いてなかった。

多少知識が付いたことで
別の楽しみ方もできた。
博打に対し主人公が饒舌だな、とか
表紙の絵は奥さんが描いたのかな、とか
変なことを気にしながら読みました。
前回もそうだったけど
真面目に生きようと心に誓った。
悪いことをすれば警察のお世話になる。
……だったらまだ良いけど
ヤクザが出てきてコンニチハは怖い。

当たり前のごとく法の外で活動すると
法は守ってくれなくなる。
守れなくなる、って感じ?
でもそこにもルールは存在する。
筋目を通す、ってやつだ。

ところがこれがかなり曖昧。
解釈は人それぞれだし
そもそも明文化されてない。
幅があれば有利不利が生じ
そこでは力関係がものを言う。

ある人は
「ここまですれば筋は通る」と言い、
対する相手は「不十分」と答える。
メンツやお金がかかってるから
探り合いが始まるわけだ。

これ自体は一般社会でもよくある。
フェアトレード、とは言っても
力関係はあるから不可避。
それでもできる限りケアしようとして
ハラスメント防止やら、
下請法やら、子供の権利やらがある。

でも暴力団の世界には
構成員権利条約も
下部組織保護法もない。
「アニキが暴言を吐くんです」なんて
労基に駆け込むこともできない。

感覚的にあってる人なら
過ごしやすい世界なのかもしれないが、
ちょっとやってみてあわないから
辞めます、ってわけにもいかない。
一般企業よりも転職は難しそう。

さらにどんな分野を生業とするか、
どこの組織に所属しているか、
などが複雑に関わってくる。
同じ組の構成員でも
エリートとか先行き不安とかあるらしい。
まるでサラリーマンみたいだが、
法が守ってくれないことと、
転職が難しいことでハードルは高そう。

まあ絶対なくならないとは思うが
暴力団自体が斜陽産業だとか。
生き残るには顔を変え、形を変えていく
柔軟性が必要と見た。
それにしたって当たり外れが大きい。

書いててつくづく思うのだが博打みたい。
それもテラ銭が高くて、
レバレッジがとんでもない博打。
さらに途中で降りられないオマケ付き。

当たれば虎の威を借りて
好き放題できるが、それにも限界がある。
外せば死亡か刑務所。
その中間には高い場代を払い続け
先細り勝負を繰り返す恐怖がある。

やっぱり僕は清く正しく、
真面目に生きていこうと誓いました。
その点で大変勉強になる小説。

それにしてもこれってやっぱり必要悪?
必要だけを取り出して悪を取り除き、
うまいこと社会システムに組み込めない?
たとえば工事を行う前の地ならし的な
地域との事前交渉。
これなんか立派な仕事にできそうじゃね?

……無理だろうな。
社会システムの中の普通の組織にすら
悪いヤツは存在するのだから。
悪に必要も不要もない。
そんなの関係なく、存在できるところに
悪は存在するっぽい。

とても勉強になり考えさせられる、
面白小説でした。


人気ブログランキングへ

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 40代サラリーマン

よろしければ投票お願いします