ストーリーが不条理当たり前世界で
テーマが真偽。
キャラクターは翻弄される人。
不条理な出来事が当たり前の世界を舞台に
じゃあ本質って何よ? と問う話。

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本物の証明

世の中わからないことだらけだ。

何回か「どうして?」を繰り返すと
答えられなくなる、
って話を聞いたことがある。
相手が怒りだすとかもあるかもだけど
純粋に僕らが知っていることは少ない。

それでも問題なく毎日過ごせている。
だからなんとなく、
僕らは世界をだいたい理解していると
錯覚しがちなんじゃね?

特に科学の発達は不思議を失くしてきた。
昔は神様のお陰とか妖怪の仕業とかでしか
説明がつかなかったことが、
科学的に解明されるようなってきた。

なんだけど本当?
オバケとか幽霊とか
その手のオカルトは否定されつつあるけど
どうなんだろう。

そのうち別の次元の存在が
科学的に証明されたり、
これまで知られていなかった謎の因子、
たとえば霊子が発見されたりするかも。

その世界では子供でも知ってる事実で
「当たり前のことなのに
昔の人はこんなことも知らなかったのか、
アホだなぁ」とか
思われたりするのかも。

そういえば昔のスキージャンプは
手を羽ばたかせていたとか。
そのほうが遠くまで行けると
思われていたらしい。
そのころの映像を見ると
申し訳ないが笑える。

食材を洗剤で洗うとか、
ロボトミー手術とか、
障碍者の去勢とか
今では信じられないことが
当たり前だった時もある。

それと同じことが今後起こるかも。

個人的に気になるのは
枯れ葉掃除のブロアーだ。
アレってしょうがないことだろうけど
ゴミを撒き散らかしてるように見える。
今とは違う
何か良い感じの空気の流れが見つかれば
解決して、それが当たり前になるだろう。
そうすると今の状況を未来の人が見たら
大爆笑に違いない。

ブロアーは小さなことだけど、
もっと大きなレベルのことで
世の中がひっくり返る可能性は
少なくないんじゃないかと思ってる。


もしもひっくり返ったら?

そんな『もしも』が
この本にはたくさん出てくる。

僕らが知ってる常識が
根底から覆された世界の話。
そこで右往左往しながら
なんとか解決に向かおうとする人が
主人公だったりする。

その世界ならではの常識、
理由はよくわかっていないんだけど
経験的にそうらしいことが
出てくるのもそれっぽいよね。

なぜか知らないけど
こうすると上手くいきやすい、
だから先人に習う、的なのって
今も昔も最先端では当たり前なのかも。

中でも気になったのは真偽だ。
もし今、僕の目の前に妻のニセモノが
あらわれたらどうだろうか?
僕には区別がつくのだろうか?
そもそも本物とは?

これは難しいよね。
でもそのうち現実になるかも。
亡くなった誰かの代わりに
ロボットを準備して……、みたいな。
アトムがそうじゃなかったっけ?

考えてみれば今でもあるかも。
大切な配偶者を亡くして
再婚する人とかって似てるのかも。
そうすると真偽の基準は
さらによくわからなくなってくる。

となると、そもそも二値的な判断が
混乱の原因なのかも。
白黒つけた方が良いことと、
どっちも正解でOKなことと。
そこら辺の使い分けがポイントじゃね?
なんてことを考えました。

ただしあれだ。
社会制度的に配偶者は
白黒つけなければならない。
そうするとさらに別問題となり
よけいにややこしい。

お話的には
もうちょっと読みたかった部分もある
テーマが重要視されるあまり
駆け足なところがあって、
面白い話だけに少し残念に思った。

それにしたって不思議な設定は
十分興味深くて考えさせられた。
今日も良い本を読めて満足。



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